こちらの記事では(2019年8月21日)に発売された

ノケモノたちの夜の最新話『2話』のネタバレや感想、考察

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ノケモノたちの夜の最新話『2話』のネタバレ

ウィステリアの世話

19世紀、ロンロン郊外。

 

森の一部を円く切り開いた部分に、建てられた一軒の古い家

 

ウィステリアの新しい生活はここから始まりました。

 

三日前に、大悪魔マルバスによって視力を奪われたばかりの彼女は

家の中を歩くのも一苦労。

 

そろりそろりと歩いても、

梯子状の階段の低い位置に頭をぶつけてしまいました

 

痛みに声を失う彼女に、

マルバスが家の中でも使えと杖を手渡されます。

 

彼女が見えない世界に慣れるにはまだまだ時間がかかりそうです。

 

この家は、マルバスが以前人間との契約の対価として受け取った家の一つ。

 

それがどんな契約だったか、マルバスはもう覚えていません。

 

(私にとっては彼が唯一でも、彼にとってはきっとまだそうじゃない……)

ウィステリアは改めてそう感じます。

 

屋敷は長い間放置されていたため、荒れ果てていました

 

掃除の必要があるのですが、

今のウィステリアでは雑巾がけくらいしか出来ません。

 

結局、見違えるほど綺麗にしたのはマルバスでした。

 

「ところで」とウィステリアが訊ねます。

自分の視力は具体的に何に使われたのかと。

 

答えは、崩れかけていたマルバスの左腕の修復に使われていたのです。

 

プラマイゼロの契約だったよと云うマルバス。

 

「だからせいぜい、キミには私の無聊を慰めてもらわねば困る」

と彼が云いかけた時、

かぶさるように、グウウウウと響き渡る音があります。

 

空腹に耐えかねたウィステリアの腹の音でした。

 

人間には食料が必要であり、

それを調達するのも、彼の役目となりました。

 

すみません、すみませんと何度も謝るウィステリアに彼は、

何か食べてみたいものはあるかと問いかけます。

 

食事を共にする相手

気が付くと、ウィステリアは高級レストランのイスに腰かけていました。

 

店に来る前に服屋に立ち寄って、適当に見繕った服も良く似合っています。

「見た目だけなら上流階級の子弟と遜色あるまい」

と満足げなマルバスに、ウィステリアは苦笑い。

 

なぜこんなところに連れて来られたのか戸惑うウィステリアに、

マルバスは答えます。

 

「私は人間の食べ物というのがよくわからないのでな」

 

そのため色々と注文すれば、

ウィステリアの好みもわかるだろうとの考えからここに来たのです。

 

個室なので、気兼ねなく食べろと言われても、

マナーも何もわからず、

何より視力の無いウィステリアは、皿を割りかねない状況です。

 

考えたマルバスは、食事の介助をし始めました。

 

ためらうウィステリアでしたが、

急かされて口にしたある料理にカッと見えない目を見開きました。

 

それほどに美味しかったのです。

 

料理名を訊くと、「多分」野菜のスープだろうと答える彼に、

多分という意味をウィステリアは問います。

 

マルバスは人間の食べ物を食べることは出来るものの本来は必要ないのです。

 

そういわれ、ウィステリアは小さく失望の表情を浮かべます。

 

彼女にとって、食事は誰かと嬉しさと楽しさを共有できる大切な行為。

 

「あなたとも一緒に出来らたなと…」

 

それを聞いて、マルバスは一つの料理を口にしてみました。

 

「…なんだこれは…」マルバスは総毛だっていました。

 

何を食したのか気になったウィステリアが口にすると、

それはライムによって酸味が強い料理でした。

 

柑橘系の味が嫌いなのかもしれないと予想するウィステリアの言葉に、

「嫌いな味」を知ったマルバス。

 

次々と試すことにします。

 

そのたびに、ウィステリアも同じものを味見しました。

そうすることで、結局同じ時間を共有する二人…。

 

ウィステリアは目が見えなくなっても、

何も変わらないと嬉しそうに笑っていました。

 

マルバスも介助が大変だと悪態をつきつつも、

彼女との時間に満足げです。

 

気が付くと、テーブルの上の皿は空になっていました。

 

趣味こそ本気で

突然、ウィステリアの目から、

ぽろぽろと大粒の涙がこぼれました。

「すごく…すごく嬉しくて。また一緒にご飯を食べてくれる人ができたなんて…。」

自分はなにもかもマルバスにしてもらってばかりだと云うウィステリア。

 

しかし、マルバスは勘違いするなと釘をさします。

 

ウィステリアを引き取ったのは、永き生のヒマつぶしだと。

 

趣味みたいなものだから、

彼女がマルバスに何か返そうなどというのはおこがましいとさえ云われ、

ウィステリアの表情が曇ります。

 

「だがな」とマルバスは言葉をつづけました。

「趣味こそ本気で取り組む主義なんだ。」

よほど気がのらなければ、

一生を共にする契約をして手元に置いたりはしないのだと。

 

ウィステリアは遠回しなマルバスの言葉を自分の言葉で確認します。

「それって、捨てたりなんかしないから、安心していいって意味ですか…?」

マルバスは答えます。

「そう取ってもらっても構わんよ。」

肯定されて、ウィステリアは満面の笑みを浮かべるのでした。

 

帰り道、こんな贅沢はめったに出来ないとマルバスは言います。

今日は、記念のようなものだからと。

 

ウィステリアは

(私とこの人は、案外うまくやっていけるんじゃないだろうか。)

そう思うのでした。

 

しかし、翌日。

前夜、人間形体で街をうろついた反動で、

ひどく体がだるいというマルバス。

 

ずいぶん長い間人間に化けることがなかったため、消耗してしまったのです。

その結果、ウィステリアの今日の食事がない可能性が出てきました。

なかなか前途多難な先行きのようです…………。

 

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以上がノケモノたちの夜の最新話『2話』のネタバレでした!

 

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ノケモノたちの夜の最新話『2話』の感想と考察

誰かと食事を共にする喜びを取り戻したウィステリア。

相手が悪魔でも彼女にとっては何も変わりがないのです。

 

むしろ、人間世界で無碍に扱われてきた彼女にとって、

これほどかいがいしく接してくれるマルバスは大事な相手。

 

恐らく、仲の良いかった兄と別れてからは

初めての”誰かとの食事”だったのではないかと思います。

 

マルバスもまた、彼女を引き取ったことは”趣味”のひとつだと言いながら、

凝り性なのだとも告げて、慣れない人間の食事に手を付けます。

 

彼にとっても、ウィステリアとの時間が

どんどん大事になっていくのがよく解かる大コマの描写

一見の価値がありました。

 

これからも事あるごとに、二人の時間は増え続け、

マルバスにとっても彼女がかけがえのない相手になっていきそうです。

 

かいがいしいマルバスですが、

これからどんな方向に話が行くのはまだ分かりません。

 

マイフェアレディのような上から目線ということは無さそうですが、

目の見えない彼女には新しい習慣を身につけさせる必要が急務。

 

マルバスしかそれを手助け出来ないのですから、

今後も、彼の悪魔らしからぬ振る舞いが楽しめそうです♪

 

まとめ

ここまでノケモノたちの夜の最新話『2話』のネタバレや感想、考察を

ご紹介してきましたが、

いかがだったでしょうか?

 

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