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こころのナース夜野さんの最新話『3話』のネタバレ
琴音という患者
「縫えるものなら縫ってみろー」
やってきた感情の名前は琴音。
彼女はリストカットを繰り返している患者で、
ここのところ、毎日やってきていた。
だが、彼女は人当たりがよく、
話す時は常に笑顔で、
リストカットの傷を見せるときは、
まるで勲章をぶら下げているかのようだ。
「今日は13本か～、こんなたくさん切って痛くないの？」
「痛くないよ～」
そういって笑う琴音は、
屈託のない笑顔を浮かべていた。
「今日の担当夜野さん？」
「おはようございます」
夜野が話しかけると、
琴音は早口で自分のことを語りだす。
「ちょっと聞いてよ～。
彼氏が『いつでも電話してね』って言ってくれたんだけど、
2時に電話したら怒るの。
ひどくない？自分からコクってきたきたくせに！
ほんとにわたしのことが好きなら話を聞くはずだよね！？」
言葉の嵐に圧倒され、夜野が彼女の話を聞いていると、
先輩ナースから呼びつけられ、
精神病患者と話すときに大事なことを伝えられる。
患者と話すときは、
いつまでも話すのではなく、
最初に何分だけ、とルールを決めて話すのが重要なのだ。
加えて、
夜野は次のグループセッションの担当になっていた。
「琴音さん、すいません！
私、次のグループセッションがあるので……」
彼女にそれだけ言い、
夜野はグループセッションの場に急ぐ。
すると、後ろから琴音が現れ、
涙をあふれさせ、顔を真っ赤にしながら叫んだ。
「どうせ私のこと見下してんでしょ！！
メンヘラのキチガイだと思ってんでしょ！！
夜野さんなんか大嫌い！！！」
彼女が画用紙を手首にあてる。
人の皮膚を切り裂くのには十分なものだ。
「あぶないっ！」
止めようとしたが間に合わず、
彼女は手首を紙で切った。
琴音という人物
琴音は幸い軽傷で済んだものの、
夜野は1人困惑していた。
（私なんかしたっけ？
言葉にするのが苦手なんだろうけど……びびった）
そんな夜野の前に、
琴音が涙ぐんだ表情で現れる。
彼女は胸の前で手を握ったまま、
震える声で言った。
「さっきはごめんなさい……
私、本当は夜野さんのこと、大好きなんです……」
夜野には、ますます琴音がわからなくなっていた。
先ほどのように泣いていたかと思うと、
30分後には男性患者と笑顔でおしゃべりをしていたりする。
夜野は琴音のことをよく知るため、
彼女に関する資料を調べることにした。
彼女の家庭環境は裕福で、
父は弁護士、母は専業主婦だった。
しかし父は母親と琴音に暴力を振るい、
家庭環境は決してよいものではなかったようだ。
また、当の母親も琴音に暴力を振るい、
彼女は虐待される家庭に生きていた。
そんな彼女の希望は、
母親の喜ぶことをするというモチベーションと、
「いつか独り立ちしたら母親を養う」という目標だったようだ。
その甲斐あって勉学は学年でトップクラス。
だが、父親との関係は改善せず、
高校生の頃、ついに母親に「一緒に家を出よう」と切り出した。
しかし、母親はそれを拒絶。
以降、琴音は家を出た。
その後は睡眠障害に苦しめられ、
人混みが息苦しく感じるようになり、
そこからリストカットを繰り返すようになったそうだ。
手首を切るという行為の意味
琴音の過去を知った夜野は、
どこか彼女に共感し、
先輩ナースたちに疑問を投げかける。
「あの、琴音さんって、
なんでリストカットするんでしょうか？」
「子どものころ、可愛がられなかった反動でしょ」
「かまわれたいんだよ」
夜野は、
琴音のリストカットがそんな簡単なことだとは思えなかった。
彼女のリストカットには、
何か大切な「役割」があるような気がしたのだ。
「琴音さん、手首どうですか。痛まないですか？」
「私は痛くないよ」
「……私、昔、涙が出そうになると、唇を噛んでたことがあるんです。
唇を噛むことは、私にとって悲しみの対処法でした。
だから、琴音さんが手首を切ることも、何か落としどころがあるのかなって」
「手首は切っても痛くない。熱い。
切ると、ぬるい血がスーッと垂れてきて、
生きてるって感じがする」
彼女の言葉は、死へ向かうものではない。
かといって、構われたいわけでもない。
生きるために、
生きるということを実感するために、
彼女は手首を切っているのだ。
彼女の話を聞いていくと、
手首を切るのは一筋縄ではない。
集中力もいれば、しっかりと気を付けなければならないことも
たくさん存在する。
「なんだか仕事みたいですね……」
「そう、仕事！」
彼女にとって、
手首を切ることは「生きるため」のことなのだ。
「別に死にたくてやってるわけじゃないし」
琴音は言う。
夜野は、「熱い」という言葉に、
全てが込められている気がした。
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以上がこころのナース夜野さんの最新話『3話』のネタバレでした！
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こころのナース夜野さんの最新『3話』の感想と考察
今回の話は、リストカットを繰り返す
患者さんの話でした。
先輩ナースの「構われたい」という発想は、
一般的な人の視線を代表したものだと思います。
ただ、琴音の場合は、
実際は「生きるため」に手首を切る、という
複雑な理由からの自傷でした。
こういう理由で自傷しているひとは現実にもいそうなので、
考え方が広がってとても興味深い話だったと思います。
次回以降は、
どのようにリストカットを治療していくのか、
という話に焦点が当たっていくのではないでしょうか？
まとめ
ここまでこころのナース夜野さんの最新話『3話』のネタバレや感想、考察をご紹介してきましたが、
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