こちらの記事では(2019年9月2日)に発売された
忘却のサチコの最新話『120話(中編)』のネタバレや感想、考察を
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忘却のサチコの最新話『120話（中編）』のネタバレ
わたしは帰りません
きっぱりと有村先生のところへ帰ることを
拒否した奥様の表情は動かず、
日傘の落とす陰のように涼し気に保たれています。
その前で唖然として立ち尽くすサチコ。
浮気の誤解が解けたのに帰らない理由があるのか、
奥様に詰め寄ります。
「心が浮ついたくらいでは本気で家出などしませんよ。あの人から置き手紙の話は？」
「あ、はい、お聞きしました」
その手紙とは奥様が一言、“信じてたのに”と記したもの。
それをサチコも男女の仲での信頼の意味だと考えていたのですが、
どうも奥様の調子では違うようです。
「私は裏切られたの」
まだサチコも置手紙の真意に気づかないので、
だから木屋町のママや祇園の人とのことは誤解だったのだから、と
奥様を強引に連れ帰る方向へ動こうとしますが、
はたと止まってしまいました。
つつっと涙を流してうつむいている奥様。
「ここまで来ていただいたのに申し訳ないけれど・・・」
帰ることをサチコに頼み、最後に一言。
「でも、ここまで来たあなただからこそ、理由がわかるかもしれないわね」
「え？奧様？」
怪訝に問いかけるサチコに構わず、
カラララ・・・と引かれた引き戸は閉められて
奧様はその向こうへ消えてしまいました。
置いていかれたほうの気持ち
「ええ！じゃあやっと会えたのに戻ってきてくれないって！？」
サチコは病院にいる有村先生のもとへ、
残念な結果を伝えに来ています。
サチコは奥様が言った“浮気以外の家出の理由”が
頭に引っかかっているので、
一応心当たりはないか先生に尋ねてみます。
しかし当然、先生は首をひねって、
「ほかに理由？もう一個もないよ」
そんな先生の机の上にドサッとサチコが積み上げた本、
それは浮気や夫婦についての機微が書かれたもの。
「手紙に書かれたように、とにかく家出の原因は先生側にあることは明白なんです！」
だからこのように古今東西の見識書を集め、
理由検証をしてみようと思い至ったサチコ。
先生に早速一疑一答形式でリサーチをかけ始めました。
「その1、妻が髪型を変えても気づかない！？」
「イ・・・イエス」
サチコの剣幕に圧倒されてしまって、
つい次々と答えていく有村先生。
そして結果ー、
「先生、88個該当しています・・・」
ガーンと落ち込む有村先生。
しかし結果を客観的に見て冷静になれたのか、
思い当る理由がないと言っていたさっきとは
別の思いが浮かんできたようです。
「こうやってみると、あれもこれも原因のような気がしてくるよ・・・」
サチコも自分のトラウマがフラッシュバック。
「理由を告げられずに置いていかれた方は」
「考えれば考えるほど迷路に迷ってしまうんですよね」
うさぎやのどらやき
（急に姿を消すほどなんて、一体何がいけなかったの？）
病院の公園に寄り道し、
有村先生の奥様や自分の婚約者のことを重ね合わせて
考え込んでしまうサチコ。
振り払おうとしてきた過去がやはり、
こういうケースに合うと否が応でも
サチコの脳裏によみがえってしまうのです。
「お嬢さん、浮かない顔してどうしました？」
掛けられた声にハッと我に返ると
品のいい老夫婦がそばにいました。
ご主人はベンチに座った奥様をモデルに
絵を描こうとしているところだと言います。
「座ってモデルをしているのも退屈なので、良かったら少し話し相手になってくださらない？」
奧様の方が承諾したサチコにニコッと笑いかけ、
お近づきのしるしにおひとつどうぞ、と
お菓子の箱を差し出しました。
「上野の“うさぎや”のどらやきよ」
日本一と言われるどらやきをひとつ手に取り、
「いただきます」
口に入れて歯を立てたサチコの身体いっぱいに、
すぐにどらやきの魅力が駆け巡り始めました。
（もちっと弾力ある生地の中に、とろみある滑らかなあんがぎっしり・・・！！）
そしてしつこさのない甘みが優しく口中を満たし、
ほおばるたびにこぼれそうになる粒あん。
絶妙な甘みのもとを探るサチコ、
（ああ・・・、これは生地のはちみつと卵の香りが合わさった、甘みの二重構造なんだわ！）
店の名前通りに旨味が口いっぱいに跳ね回る、
そんな印象に顔をほころばせていると、
「どう？甘いもの食べて少しは元気になった？」
奧様がふふっと顔を覗き込みました。
元気がなさそうなサチコに老夫婦は気づいていたのです。
一緒に長くいる秘訣
「・・・仲がおよろしいんですね」
妻の姿をスケッチする夫、という
幸福そうな構図にぽつりとサチコはつぶやきます。
「お二人が長く一緒にいる秘訣ってなんですか？」
不躾ではあっても聞かずにいられないサチコ。
奥様はそうねぇ・・・と言ってから
ゆっくり言葉を紡ぎ出しました。
「別れる理由がいくつもあっても」
「たった一つでも別れない理由があれば、人は一緒にいられるものよ」
（別れない理由・・・）
そこへ、できた！とご主人の声が響き渡ります。
「上手ですね」
「そりゃ何年も描いているからさ」
聞けば奥様が以前検査でひっかかったときに、
元気な姿を描いてやると約束したことを
ご主人は守り続けているのでした。
「それが別れない理由ね」
そして奥様は付け足して、
「この人、私しかモデルにしないのよ」
「ほかの人をモデルにしたら怒るのはそっちだろうに」
照れながら言い返すご主人。
サチコの頭の中には有村先生の創作活動がめぐり、
あっと思い至ります。
（も・・・もしかして奥様の家出の理由って・・・）
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以上が忘却のサチコの最新話『120話(中編)』のネタバレでした！
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忘却のサチコの最新話『120話（中編）』の感想と考察
忘却のサチコの最新話120話（中編）は、
謎解きは忘却のあとでの巻でした。
今回は首都圏在住の方ならご存知の、
あのうさぎやのどらやきが出てきました！
オシドリ夫婦らしい老夫婦にぴったりの
老舗の優しく旨味バランスが絶妙な素朴などらやき。
別れない秘訣もシンプルでしたし、
奧様の別れない理由は含蓄があって、
カップルの方は頭の隅にメモしたくなったのではないでしょうか？
有村先生の奥様が家出した理由、
これは何となく老婦人の言葉によって我々読者にも
うっすらみえてきましたよね！
次回、あっているかどうかの答え合わせを
見逃してはなりませんよ！
まとめ
ここまで忘却のサチコの最新話『120話(中編)』のネタバレや感想、考察をご紹介してきましたが、
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